物件価値倍増を狙う・デザインリフォーム

「時代が変わった。ライフスタイルが変わった」

○2DKから19畳のワンルームに変更
 今回、紹介しているリフォーム例についてだが、本物件は、築年数29年の賃貸マンション。今回、15年以上長く住んでいた入居者の退去にあたりかなりの手を加えなくてはならないことから、、「どうせリフォームするなら入居者を呼び込むことができる競争力のあるものにしたい」とオーナーからの相談を受け、デザインリフォームを行った。
 リフォーム前は2DKの間取りだったものを、大胆にも19畳のLDKのワンルームに間取り変更した。ただし、廊下をとることによって、浴室や洗面、トイレなど水回りとLDKとは分離した。
 デザイン的な観点では、廊下の壁を腰の高さより上と下とでクロスを張り分けることによって、単調になりがちな空間にリズム感を持たせた。廊下つきあたりに設けたフィックス窓とユニオンジャックをモチーフにしたリビングドアは、廊下への明かり取りという役割とエントランスに立ったときに、真っ先に目に飛び込んでくるフォーカルポイントとしての役割も果たしている。また、ワインカラーとダークグリーンで塗り分けた建具や壁面の一部に張った煉瓦タイルは、今回のテーマである英国風の伝統的イメージを演出した。
 私が古い賃貸マンションをデザインリフォームするうえで、強く心がけているのは、オリジナルなデザインを施すこと、もう1つ、大胆に間取り変更することがある。
 今回は、なぜ大胆に間取り変更するのかについて述べたいと思う。
 通常、40㎡程度の賃貸マンションでは、今回のリフォーム例のようにLDKが19畳という大きなものは少ない。しかし、当社のリフォームでは60㎡程度の3DKでも、LDKが20畳近くあるような1LDKに間取り変更する。この大胆な間取り変更こそが、古い賃貸マンションを再生させる為のポイントとなる。
 古い賃貸マンションに、人気が集まらない理由は単純。間取りや賃料に大きな差がないのなら、できるだけ新しいものを借りたいという消費者意識によるもの。
 つまり同じ条件ならば、古いものに比べ新しいものに分があるということだ。私は、古い賃貸マンションの有効な空き室対策には、大きく分けて2つの方法しかないと思っている。1つは、賃料を周辺相場よりも下げて、消費者の目を引くという方法。もう1つは、間取りに特徴を持たせたリフォームを行い商品価値を高める方法。
 しかし、1つ目の賃料の値下げについては、手っ取り早い方法であるがゆえに、価格競争になってしまい、最後には十分な効果が上がらない。また、他の入居者へのクレームにもなってしまうといった理由で、壁にぶつかってしまうこととなる。古い賃貸マンションに残されたのは、リフォームによって商品価値を高める方法なのだ。

オリジナリティと大胆さが重要

 築年数が20年以上の賃貸マンションにおいて、2DKや3DKという間取りが多いのは新築時に、賃貸マンションに住む入居者の対象者が、4人から5人の家族世帯であるとの根拠に基づいて造られたからだといえる。ところが、今、賃貸マンションに住まう入居者の中心は、1人世帯や2人世帯に変わってきた。4人から5人の家族世帯の多くは、一戸建てを購入するようになったからだ。
 しかし、1人世帯や2人世帯は、晩婚化や少子化によって、増加傾向にあり、将来への先行き不安からあえて住宅を購入しない、積極的な賃貸暮らしの傾向が強まっているようだ。そのような1人世帯や2人世帯にとっては部屋数は必要なく、むしろ、それよりも生活の中心となるLDKが大きい方が望ましいのだ。LDKというのは、リビングとダイニングとキッチンが1つとなっているという意味だが、今やテレビを見たり、食事をするだけでなく、仕事をしたり、寝る場所という役割も担うようになってきた。つまり、20歳代から30歳代の人たちのライフスタイルの変化によって、全ての機能を担うことのできる大きなリビングが望まれるようになったのだ。
 しかし、今のマンションにはそういった間取りのものがほとんどなく、潜在客が行き場を失っている。そこで、古い賃貸マンションが間取りを大胆にリフォームすることによってそういった潜在客を、積極的に取り込んでいく。これが、古い賃貸マンションのリフォームによる商品戦略なのだ。古い賃貸マンションは、同条件下で新しいものに勝つことはできない。ならば、同じ土俵で戦わず2つとない商品で勝負するべきだろう。
(全国賃貸住宅新聞2003.10.20より抜粋)

☆コメント☆

 店頭で受けるお客様のニーズはここ数年変化してきました。何が変化してきたかについては、上記の記事にも書かれておりますように「オリジナリティと大胆さ」を求めるようになってきたことです。特に生活の中心となるLDK(リビング)の広さにはもっともこだわりをもち、広いLDK(リビング)に魅力を感じるようです。以前はただ部屋数を増やしたいという希望のお客様が多かったのですが、ここ数年、LDK(リビング)の広いものがほしいという声が多くなりました。
 これは、ファミリー世帯(お子様のいる世帯)の分譲マンションへの流出による影響と、賃貸マンションの値下がりによって、単身なら2DK、新婚世帯なら3DKの家賃を支払うことが可能になったからです。現場にいるとよく感じるのですが、1LDKがないから2DKを借りる。2LDKがないから3DKを借りる。つまり、2部屋3部屋ほしいのではなく、2部屋または3部屋分の広さで部屋数よりもLDK(リビング)の広いお部屋がほしいのです。
 しかし、これから物件を建てるならそれも容易でしょうが、築年数の経過した2DKや3DKはどうしたらよいのでしょうか?という質問もあるかと思います。考え方を変えれば、そこにビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。リフォームによる商品戦略として、ここで2つとない商品で勝負することができるわけです。
 どんな商品がオリジナリティと大胆さを感じるのか?これは、私共が数多くの情報を集め、勉強し、各オーナー様へ今後提供していかなければいけない課題だと思っております。